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インド人材採用の完全ガイド:市場動向・採用ルート・面接・交渉・労務まで

2026.02.11 / COLUMN

インド人材採用の完全ガイド:市場動向・採用ルート・面接・交渉・労務まで

「インドといえば、コストを抑えるためのアウトソーシング先ですよね?」 
もし、まだそんなイメージをお持ちだとしたら、少し認識をアップデートする必要があるかもしれません。 

かつては確かにそうでした。しかし今、インドは単なる「業務委託先」から、プロダクト開発やR&D、AI開発といった企業の心臓部を担う「戦略拠点」へと、その役割を劇的に変えています。とはいえ、いざ採用を始めようとすると、日本とは全く違う壁にぶつかるのがインドという市場です。 

「いい人が見つかったと思ったら、翌週には他社に行っていた」 「給与交渉が激しくて、相場がわからない」 

これらは、多くの日系企業が通る道です。この記事では、そんなインド採用の「リアル」な全体像を、市場の現在地から具体的な採用実務、そして労務のツボまで、できるだけ噛み砕いてお話しします。 

💡 本記事のポイント

インドでの採用成功には、近年の「即戦力需要」を理解し、選考のスピードアップと入社前フォローを徹底する必要があります。

・市場動向とターゲット:GCCの拡大により求人が12%増加しています。企業は教育コストのかからない「経験5〜10年の中堅層」を狙う必要があります。

・採用ルート:母集団形成にはデータベース型の「Naukri.com」、専門職のスカウトにはSNS型の「LinkedIn」など使い分けが必須です。

・リスク対策と法規制:内定後の辞退を防ぐため、企業は定期的な連絡を行う必要があります。また、会社は基本給を総報酬の50%以上とするなど、新労働法に対応した給与設計を行う必要があります。

1. インド人材市場の現在地 

“人は多い”はずなのに、なぜ採用は難しいのか 

インドは若年人口が厚く、ホワイトカラー人材の供給も大きい国です。ただし採用現場では、次のようなギャップが起きやすいのが実情です。 

  • ・レジュメと実力の乖離: レジュメ上は完璧に見えても、実務レベルが期待とズレていることがよくある。

  • ・スピード勝負の激化: 優秀な人ほど引く手あまた。選考結果について社内での検討に時間を要している間に、あっさり他社に決まってしまうことも。
     
  • 「即戦力」の定義の違い: 「即戦力」として採用したつもりが、実際にはかなり細かい指示が必要だったというケースも。 

つまり、インドの採用は「人口が多い=採用できる」ではなく、どんな人材を、どの前提で、どう見極めるかの設計が非常に重要となります。 

GCC拡大と「経験者」需要の上昇 

近年、インドにおける拠点の位置付けは大きく変化しています。インド市場に向けた海外拠点や業務実行のためのバックオフィスにとどまらず、開発・分析・企画といった中核機能を担う「GCC(Global Capability Center)」として、インドを活用する動きが急速に広がっています。 

実際、2025年におけるインド国内のGCC関連求人の掲載数は前年から約12%増加※1しており、グローバル企業による人材獲得競争が一段と激化しています。 

特に需要が強まっているのは、以下のような人材層です。 

  • ・経験5〜10年の中堅層(即戦力としての実務遂行に加え、将来のリード・マネジメント候補) 
  • ・マネージャー/リーダー層(チーム立ち上げ、メンバー育成、プロジェクト推進を担う) 

実際に当社でも、「インドに拠点を持つにあたり、まずは立ち上げ一人目となるインド人材を採用したい」というご相談を多くいただきます。多くの場合、その一人目には実務を自走できる即戦力であると同時に、将来的にチームを率いる存在であることが期待されています。 

しかし、こうした人材ほど市場での競争が激しく、採用要件の設計や見極めを誤ると、思うように進まないケースも少なくありません。 

新たな都市を狙うという選択肢 

採用コストや競争環境の観点から、人材獲得競争が激しいデリー、ムンバイ、ベンガルールといった主要大都市を避け、プネ、チェンナイ、ハイデラバードなどの地方中核都市に拠点を構える、あるいは採用活動を広げる企業も増えてきました。 

「地方なら採用しやすいのでは?」と思われるかもしれませんが、実はここにも落とし穴があります。職種によっては人材プールが小さく、かえって採用難易度が上がることもあるのです。Tier2だから採用できるとは限らない点には、注意が必要です。 

2. インドでの採用ルート、何が正解? 

インド採用は「この媒体が正解」というより、職種・年収帯・採用難易度・スピード要件によって、複数のチャネルを組み合わせて設計する必要があります。 

主要求人プラットフォーム

インドでは、代表的な採用プラットフォームとして大きく3つが広く使われています。 

Naukri.com 

インド最大級の人材データベースを持つ採用プラットフォーム。
実務上は「求人掲載」よりも、レジュメデータベース検索+スカウトの活用が中心となるケースが多く、データベースから候補者を能動的に探す使い方がメインです。  

LinkedIn 

管理職・専門職・エンジニアなど、ホワイトカラー採用における必須インフラ。 
ここでも、求人掲載よりダイレクトアプローチ(スカウト)を前提とした運用が主流で、候補者のキャリア志向や転職温度感を見ながら接点を作れる点が強みです。 

Indeed 

幅広い職種・地域にリーチしやすく、比較的ライトな母集団形成に向いています。 
ただし職種や地域によって応募の質にばらつきが出やすく、要件設計と初期スクリーニングが重要になります。 

これらのプラットフォームに共通するポイントは、応募や候補者は集まりやすい一方で、スクリーニング工数が膨らみやすいという点です。実際、採用がうまく進まない企業の多くは、媒体選びよりも求人要件の書き方や候補者への訴求、選考のスピード感など、採用設計の部分で詰まっているケースが少なくありません。 

人材紹介エージェントとRPO(採用代行) 

日本だと「とりあえずエージェントに頼めば安心」と考えがちですが、インドでは少し事情が違います。インドの候補者は、エージェントにキャリアを委ねるというより、「応募経路の一つ」としてドライに捉えていることが多いです。自らLinkedInで企業に直接コンタクトを取るのも当たり前。だからこそ、エージェント任せにせず、自社手動で採用プロセスを回していく戦略が重要になってきます。 

採用担当者を社内に十分置けない段階や、採用立ち上げ期にはRPO(採用代行)を活用し、インドならではのスクリーニング方法や候補者対応などの実務ノウハウを得つつ、徐々に自社でも対応していくという戦略的な活用もおすすめです。 

3. 面接・交渉の落とし穴を回避するポイント 

インドにおける一般的な選考フロー 

インドにおける一般的な選考フローは以下の通りです。 

1. 書類/プロフィールスクリーニング 
2. 候補者へのコンタクト/応募喚起
3. スキル評価(テスト/課題/ケース)※職種により実施 
4. 面接(2〜4回が一般的)
5. オファー提示・交渉・受諾
6. バックグラウンドチェック
7. 入社までのフォロー 

フロー自体は日本と大きくは異なりませんが、日本と比べて、オファー前後のスピードと交渉フェーズの比重が大きい点が特徴です。 

スピードを上げる実務のコツ

インド採用で非常に重要なこと。それはスピードです。「面接の合否、本社に確認して1週間後に連絡します」 この1週間が命取りになります。その間に候補者は別のオファーを受け取ってしまうからです。 

スピードを担保するためには、あらかじめ以下の点を準備しておくことをお勧めします。 

  • ◻︎ 給与レンジは事前に社内で承認をとっておく 
  • ◻︎ 評価観点を統一し、合否理由を言語化できる状態にする 
  • ◻︎ 「次のアクション」を面接当日に決める 

インド人との面接でズレやすいポイントとは

インドの面接では、候補者が自分の強みや希望条件を率直に伝えることが一般的です。日本企業側も、曖昧な表現を避け、役割・期待成果・評価基準を明確に伝える方がミスマッチを減らせます。 

また、履歴書に書かれた表面的な経歴だけで判断せず、具体的に何をしていたのか、どのレベルで裁量を持っていたのかといった点を深掘りし、実務と役割の範囲を明確に確認することが重要です。 

さらに、インドの面接では候補者から多くの質問を受ける場面もよくあります。面接を一方的な評価の場にとどめず、候補者の理解と志望度を上げるためのコミュニケーションの場とすることも、採用の成功につながる重要な要素です。 

給与交渉と内定後の離脱は織り込み済みで 

インドでは、オファー提示後の給与交渉は珍しいことではありません。「他社からもオファーが出た」と天秤にかけられるのも日常茶飯事です。そのため、以下のような項目を事前に検討し、交渉を採用プロセスの一部として織り込んでおく必要があります。 

  • ☑️ 提示レンジの根拠(役割・スキル・市場相場)を準備する 
  • ☑️ 交渉可能/不可のラインを決めておく 
  • ☑️ オファーの魅力を「給与以外」でも補強する(成長機会、裁量、制度、役職等) 

また、内定から入社までの期間は、離脱(辞退・ゴースティング)が最も起きやすいフェーズです。定期的に連絡を取ったり、チームと顔合わせをしたりと、「あなたを待っていますよ」というメッセージを送り続けることが大切です。 

さらに、現職への退職交渉を行う際に、カウンターオファーを受ける可能性も高いため、退職届の提出や退職交渉の状況についても、しっかりと確認をとっておくことをお勧めします。 

※ゴースティングとは:候補者が面接の当日に現れない、内定を出した途端に連絡が取れなくなるなどのこと 
※カウンターオファーとは:退職の意向を伝えた際に、給与アップや昇進を条件とした強い引き止めのこと 

5. 採用にあたり検討すべき項目 

インド採用では、「人を採ること」そのもの以上に、雇用条件や運用をどの前提で設計するかが重要になります。特に、採用前に整理しておくべき主な論点は以下の通りです。 

  • ・雇用契約の設計:解雇条件や役割範囲は明確になっているか? 
  • ・賃金構造(CTC):基本給と各種手当のバランスはどうするか?法令に沿った構造になっているか
  • ・休暇制度:法定要件と実務運用の両面から競争力のある制度になっているか? 
  • ・社会保険の適用範囲と実務:PF(従業員積立基金)加入要否、会社の管理・手続きフローは? 
  • ・コンプライアンス運用:定期的な提出物、監査対応、記録管理を誰が・どの体制で行うか? 

インドの労務・雇用制度は、日本とは前提が大きく異なることに加え、州ごとに運用や解釈が分かれるケースも多く、制度全体が複雑になりがちです。自社だけで判断しきろうとせず、必要に応じて現地の労務・法務に詳しい専門家に相談しながら設計を進めることをおすすめします。 

>>雇用条件や制度設計に関するご相談はこちら

6. インド人材採用は「戦略設計」差をつける 

インドはもう、「人が多い国」「コストを抑えて人を採れる国」ではありません。GCCの拡大やグローバル企業の進出により、優秀なホワイトカラー人材をいかに獲得できるかが、インドでの成功を左右する段階に入っています。 

だからこそ、事業戦略そのものとしてインド人材採用を捉える必要があります。 

  • ・どの人材を、どの役割で採るのか 
  • ・どのルートでアプローチするのか 
  • ・どうやって口説き、どうやって定着させるのか 

これらを設計できるかどうかが、インド進出の成否を分けると言っても過言ではありません。 特に、立ち上げ期や「最初の一人」を採用するフェーズでは、採用要件の曖昧さや設計ミスが、その後の組織づくりに大きな影響を与えます。 

「そう言っても、何から手をつければいいかわからない」 「今の進め方であっているのか不安だ」 

そう感じたらぜひ、一度弊社までご相談ください。 インド人材採用における戦略設計から、採用後の定着・運用フェーズまで、インドの現場を知り尽くした私たちが伴走します。 

※1 India’s GCC Growth Holds at 12% in 2025, Tier-2 Cities and Freshers Drive Momentum: foundit Insights Tracker – TaxTMI

7. よくある質問(FAQ) 

Q. インド採用はどのくらいの期間がかかりますか? 

A. 職種・経験年数・採用チャネルにより差がありますが、選考完了まで1〜2か月、入社まで通知期間を含めると2〜3か月以上かかるケースもあります。一方で、選考プロセスにおいては、素早い意思決定と次のステップへの案内が内定自体を防ぐためには重要です。 

Q. NaukriとLinkedInはどちらが良いですか? 

A. 母集団形成ならNaukri、専門職・管理職やスカウト運用ならLinkedInが強みです。多くの場合、併用が現実的です。 

Q. 内定辞退を減らす方法は? 

A. 選考のプロセスにおける意思決定を素早く行うことを大前提としつつ、内定後の入社までのプレ・オンボーディング(定期連絡、上司・チームとの交流など)を仕組みにすることで、さらに対策を取ることが効果的です。 

インド現地の日本人コンサルタントが、貴社の組織フェーズや募集ポジションに応じて、最適な採用方法や条件設定からサポートいたします。 

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