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2025.12.15 / COLUMN
CLIENT PROFILE/クライアントプロフィール
会社名 :株式会社船井総合研究所
事業内容 :
経営コンサルティング業
企業ホームページ :
株式会社船井総合研究所様は、長年にわたり中堅・中小企業をメインの対象とした経営コンサルティングを提供し、 「成長実行支援」 にコミットしてきました。現在の主要テーマはDX(デジタルトランスフォーメーション)と中小企業のスケールアップであり、中小企業でも使いやすいZohoなどのDXソリューション導入支援に注力されています。2025年11月には、インド・ベンガルールに現地法人を設立されました。
今回は、INDIGITALの田中啓介が、株式会社船井総合研究所の代表取締役社長である真貝大介氏をお迎えし、EOR(代替雇用サービス)を活用したインドのGCC(グローバル・ケイパビリティ・センター)立ち上げのリアルと、インドを起点とするグローバル戦略について伺いました。

田中:改めて自己紹介と、船井総合研究所という会社について教えていただけますでしょうか。
真貝:2020年から船井総合研究所の社長を務めており、今回Funai Consulting Indiaの社長も兼任することになりました、真貝と申します。船井総合研究所は、中堅・中小企業の経営者の方に経営コンサルティングを長年行っております。特に、リソースが少ない中小企業に対して、できるだけ業績が上がるよう
戦略策定から実行までをお手伝いする「成長実行支援」にコミットして事業を進めてまいりました。
田中:新卒で入社され、社長になられるまでの経緯を教えてください。
真貝: 新卒で船井総研に入り、経営コンサルタントとしてのキャリアをスタートしました。当初は社内でも少人数な大手企業向けの部門で長くやっていましたが、5〜6年目から方向転換し、士業(司法書士、税理士、弁護士、社労士など)を主要クライアントとするコンサルティング事業を立ち上げ、組織を拡大しました。特に士業とウェブマーケティングの相性が良かったことで、Webが全ての入り口となる時代と共に、Webマーケティング、デジタルマーケティング、そしてデジタルトランスフォーメーションへと繋がっていきました。私はエンジニアではありませんが、社内で「デジタルを船井総研の経営にどう使うか」というプロジェクトを任されるようになったのが、社長になるきっかけに繋がったのではないかと思います。
田中:現在、日本で提供されている具体的なサービス内容について教えていただけますか。
真貝:弊社のコンサルティングの最大の特徴は、業種とテーマ(経営課題)を細かく割って、企業の課題に合わせたソリューションをご提案するというスタイルを取っている点です。現在は、コロナ前から続くデジタルのムーブメントと、中小企業の生産性向上の必要性から、「DX」と「中小企業の年商規模を大きくしていくこと」という二大テーマでコンサルティングを行っています。DXにおいては、人口が減っている日本において顧客獲得やLTVを最大化するため、デジタルマーケティングを入り口としたCRMの提案が増えており、中小企業でも使いやすいZohoというDXソリューションを提案しております。

田中:インド現地法人の設立、おめでとうございます。インドに対して今どのような印象をお持ちですか。
真貝:常にポジティブな印象を持っています。弊社は元々中国に拠点があり、次にどこに行くか検討している際にインドが視野に入ってきました。Zohoとの取引が増える中でチェンナイにある本社を訪問する機会があり、若いエンジニアが24時間交代制で稼働している様子や、多くの企業が拠点を置く大規模なテックパークを見て、「やっぱりこの世界に入らなきゃいけない」と感じました。2025年3月にベンガルールに来ることができ、会社として持続的に事業を伸ばしていける拠点として考えた結果、インド国内でもベンガルールならやっていけそうだと決めた、という流れです。

田中:インドのIT人材を活用する魅力について、コスト削減ではない視点でどのように捉えていますか。
真貝:円安が進む現状では、日本から見てコスト削減にはならないと考えた方がいいです。アメリカやシンガポールでチームを作るよりは安いので、世界から見たらコスト削減にはなりますが、日本から見たらそうではありません。インドの魅力は、英語でかつグローバルで仕事ができる人材が圧倒的に多いという一点に尽きると思います。アメリカの企業で働いたことがあるインド人が増えており、発音も特に問題ない人が増えてきています。
田中:Zohoへの積極的な関与は、御社の戦略とどう結びついているのでしょうか。
真貝:ZohoはCRMが非常に強いクラウドプラットフォームで、コストとカスタマイズ性から中小企業に非常に強く、マーケティングに特化したアプリケーションのバリエーションが多いことが特徴です。また、ノーコード・ローコードに近いため、エンジニアでなくてもサポートに入りやすい特徴があります。中小企業のDXに重要なのは「まず迷わせない」ことです。中小企業はリソースが限られているため、大手企業のようにツールの選定に時間をかける余裕がありません。我々コンサルタントが「社長、Zohoでいきましょう」と決め打ちで提案し、成功へ導くことを目指しています。そのためにも我々が自身がZohoを活用しながら、ソリューションを徹底的に磨いています。

田中:今回、GCCを設立されるにあたり、弊社のEOR(代替雇用)サービスをご活用いただきました。EORを選択された理由を教えてください。
真貝:インド進出で課題になるのは「誰がやるのか」という問題です。現地法人を設立した際、駐在者が本業以外の管理業務に時間を割きすぎるのはナンセンスだと考えていました。前に進まないときっと見えない景色があるからこそ、スピーディに実現できるスキームが必要だと感じていました。
採用や人的マネジメントはGCCの重要な要素なので、自分たちだけでゼロから全てやるよりは、 先行してらっしゃる方が確立してるやり方をまずは一旦一通りやらせてもらうのが最善と考えました。EOR活用により、すでに40〜50人の候補者の面接を経験でき、どういう人がどれぐらいの年収帯でいるのかといった経験値を効率的に積むことができました。

田中:実際にサービスをご利用いただいていかがでしたか。
真貝:立ち上がりまで順調に進むようにサポートいただきました。弊社が持ち合わせていないインドの商習慣や雇用慣行、採用に関するノウハウについて、客観的なコメントや業務代行をしてくれるのはとても助けになりました。まずは立ち上げまでとてもスムーズに来れたのは本当にINDIGITAL様のおかげです。また、実際に採用したインド人メンバーに会ってみると、Zoomでの面接の印象よりも良かったという発見もありました。彼らのコミットメントの高さや、スーツを着た時の真面目さなどに好感が持てました。国内であっても採用で外部を頼るのに、海外でエージェントやパートナーに頼らないのは逆に不思議な話だと感じています。
田中:採用されたインド人エンジニアの方々の印象について教えてください。
真貝:率直に言って、「優秀だな」と感じています。エンジニア歴が5〜6年と長く、年齢の割に経験豊富な方が多いです。特にZohoの経験者が日本より圧倒的に多いですし、技術的なスキルも磨かれているという印象があります。
田中:今後、インドでどのようなことを実現したいと考えていますか。
真貝:弊社が実現したいのは世界に飛び出すビジネスハブとしてのインドという立ち位置です。まず、日本国内のDXの支援にしっかり応えられる体制を作ることが第一だと考えています。そのうえで今後はZohoの本社に近い利点を活かし、インドの優秀なZohoパートナー企業のエコシステムと連携していきたいと考えています。また、海外展開を志向する日本企業への共同サービス提供や、東南アジア全般に対してZohoを通じたソリューションを提供していくことも見越しています。
田中:最後に、インドでのGCC設立を検討している企業へメッセージをお願いします。
真貝:まずインドに来たことがない方は来てみるのが一番のお勧めです。経営者であれば、空港に着いた瞬間から人口のボリュームや、若いエネルギーを体感できるはずです。ムンバイやデリーなど、複数の拠点を回って見比べることも重要でしょう。そして、海外拠点は組織的に不安定になりやすいため、頼れるパートナーと、自社の中からインドに定期的・継続的に行く「仲間」をどう作っていくかということが、もう一つ非常に重要な要素です。
真貝様、本日は大変お忙しい中、貴重なお時間をいただきまして本当にありがとうございました!