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2021.08.01 / PARTNERS
(文責:田中啓介/株式会社INDIGITAL代表)
昨今のビジネス環境を表す「VUCAの時代」。つまり、Volatility(変動性)とUncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)が共存する時代において、私たちはいつ何時も不測の自体に備え、柔軟かつスピード感のある経営が求められています。新型コロナウイルスによるパンデミックによって、この「アジャイル型経営」へのシフトが死活問題となり、これからの日本企業にとって必要不可欠な経営スタイルとなりました。
しかしながら、国際経営開発研究所IMD(International Institute for Management Development)が発表した最新のデジタル競争力ランキングによると、「企業の俊敏性」と「ビッグデータやアナリティクスの活用」という項目において、なんと日本は63カ国中最下位となっています。このような結果となった背景を紐解いていくと、日本が抱えている課題が浮き彫りになってくるように思います。つまり、日本ではデジタル技術やデータ活用のベースとなるITインフラを完全に外注(丸投げ)してきた企業が多かったために、また、社内の情報システム部門が経営戦略において孤立した存在となってしまっている企業が多いが故に、結果的にITインフラを俊敏にアップデートし、データの利活用を積極的に推進できる企業があまりに少ないというのが実態であるように感じます。
データの利活用においては、精度の高いデータをリアルタイムで取得することに加えて、データ流出のリスクを最小限に抑え、利便性およびプライバシーの観点から適切かつ高度なデータ管理・運用が求められます。したがって、自社の経営戦略、つまりはグローバル戦略やDX戦略において、社内の情報システム部門や社外のITソリューションプロバイダーを(外注ではなく)戦略的パートナーと位置づけ、積極的に経営に参画してもらうことが必須となります。 このような状況において、本日ぜひご紹介をしたいのがハイデラバードに本社を置き、データ利活用に強みを持つITソリューションプロバイダーAchala IT Solutions社です。この度、同社創業者であるラジェッシュ・ラジュ氏がインタビューに応じてくれましたので、そのインタビューを元に同社のご紹介したいと思います。
会社概要
会社名 :Achala IT Solutions Private Limited
本社 :インド(ハイデラバード)
設立 :2009年
従業員数 :約250名
従業員構成
ソフトウェア・アプリケーション開発(約180名)
ビジネス視覚化BIソリューション(約25名)
品質管理ソリューション(約20名)
DevOpsソリューション(約20名)
インド中南部のハイデラバードに本社を構えるAchala社は、ドイツおよびアメリカにも拠点を持ち、総勢約250名の従業員が働いています。新規プロダクトの開発や既存サービスに対するソフトウェアエンジニアリングソリューションから、ビジネスを可視化するビジネス・インテリジェンス(BI)サービス、幅広い品質管理ソリューション、効率的なかつ継続的な開発環境・テスト環境の構築に至るまでをワンストップに支援することができます。同社は、ISO27001を取得しており、昨今のGDPRを中心とした世界的なデータセキュリティに対する関心の高まりを受け、現在ドイツ自動車工業会が2017年に定めた情報セキュリティ審査基準であるTISAX(Trusted Information Security Assessment Exchange)の取得申請を行なっている、とのこと。
自らを「ソリューションプロバイダー」と定義する彼らの強みは、顧客の課題に寄り添い、その課題を解決するために最適なソリューションが何であるかを徹底的に考え抜くこと。特にビッグデータの利活用を前提とした幅広いソリューションにおいては、彼らの知見・経験が多分に発揮されます。例えば、社内のあらゆるビジネス関連データが分断化されていることに課題を感じていた大手自動車メーカーに対し、データをいかに利活用し、かつ、データセキュリティを高めていくかという観点からのソリューションを提供しました。つまり、Cloudera社のHortonworks Data Platform(HDP)を活用し、複数のサーバーにおける分散並列処理基盤Hadoopによるデータ連携やデータの統合管理・分析、Kerberosによる複数のデータレイヤー認証(シングルサインオン:SSO)、Tableauを活用した視覚化するためのBIソリューションに至るまでをトータルでサポートしました。
創業者であるラジェッシュ氏によると、データの利活用においては(1)データの種類、(2)データの量、(3)データの取得頻度・速度、が重要な評価要素になると話しています。Achala社は、データベースの種類に応じたデータのExtract(抽出)、Transform(変換)、Load(ロード)を専門とするETLエキスパートやビッグデータアーキテクト、さらに、データを視覚化する上でのBIソリューションの専門家、データ連携と継続的モニタリングを実現するDevOps専門家などがチームとなって顧客が抱えている課題の本質を突き詰め、中長期的な視点に立った課題解決ソリューションを提供しています。
今回のインタビューを通じて、Achala社が顧客に対して地に足のついたアプローチ方法を地道に実践してきたことを随所に感じることができ、私たちINDIGITALが実現したい世界観にも通じる価値観を共有することができたと同時に、その実現に向けてぜひ連携をしていきたいという思いがさらに深まりました。
上述の通り、ソリューションプロバイダーとしてAchala社が日系企業と連携できるサービス領域は極めて幅広い。自動車業界におけるビッグデータの利活用に限らず、産業のボーダーを超え、さらには国境というボーダーをも超えて、ビジネスがつながっていくこれからのデジタル社会において、私たちINDIGITALはAchala社との連携を通じて、多くのデジタル・トランスフォーメーション(DX)を実現できると確信をしています。
現在、Achala社が自社ブランドの商品として開発を進めている高齢者向けコンパニオンロボットも面白いプロジェクトのひとつです。センサー技術やハードウェアのデザイン設計・製造において米国企業とパートナー連携をし、また、様々な技術や専門家を巻き込み、まさに彼らも自らが他社との連携を通じてインドの社会課題を実現するためにチャレンジを続けています。具体的には、以下のような機能を実装した高齢者向けコンパニオンロボットの開発を進めており、2021年9月にはデスクトップ上での管理基盤がリリース予定で、2022年にコンパニオンロボットが実際に誕生する見込みで、今後の開発プロセスや日本市場への進出に際して、日本企業との連携が期待されます。
・指先をタッチすることで血圧、心拍数、酸素飽和度(SpO2)を測定
・非接触型センサーによるその他バイタルの取得
・電子聴診器やテレビ電話を活用した24/7の遠隔医療機能
・患者の電子カルテのデータ一元管理
・LiDAR技術を活用した3次元測距による遠隔操作
・高齢者を見守る転倒検知および緊急通報機能
・服薬管理およびリマインダー機能
・Amazon Alexa連携による複数言語ボイスアシスタント
・ご家族といつでもつながるテレビ電話機能
・認知機能の維持・向上を目的とした脳トレーニングゲーム機能
Achala社は、これまで欧米企業を中心に顧客との信頼関係を構築し、また、事業連携を通じて着実に成長をしてきました。その成長プロセスにおいては、自動車産業を中心としたドイツ企業や日本企業に対する信頼があり、今後はぜひ日本企業との関係を強化したいと考えています。私たちINDIGITALとの連携を通じて、自動車産業に限らず、産業というボーダーを超えた新しい未来を一緒につくるべく、幅広い業界に対して横断的なトータルソリューションを提供していきたいと思います。