トピックス
2022.07.22 / PARTNERS
(文責:福成千穂/株式会社INDIGITAL)
インドではインターネットの普及が進み、いつでもどこでも自分が見たいコンテンツが見られるようなライフスタイルへと変化したことで、インドの映像配信サービスの需要*が増加しました。CATVと比較すると、端末設定の煩わしさから解放されて、初期投資及びランニングコストも安価です。また、インドの通信事業者が携帯電話の通信利用料にOTT(Over The Top)プラットフォーマーの初年度会費込みの料金プランとして提供をしていることも加入促進の効果が期待できそうです。さらに、今回のCOVID-19の感染拡大による巣篭もり特需として、オンラインストリーミング急増の恩恵もありました。
今回ご紹介するのは、Myelin Foundry Private Limited(以降、Myelin Foundry社)です。エッジデバイス(利用者側端末)向けに、映像・音声・センサーデータに人工知能のアルゴリズムを構築することで、人間の体験と業界の成果を変革することに取り組んでいます。今回、ファイナンスが専門で、欧米や東南アジアなど様々な国で活躍されてきた同社のCOO、Sridhar Vaidyanathan氏にインタビューする機会を頂きました。メディア&エンターテインメント、産業、自動車などの分野に応用できる同社のエッジAI技術、今後の事業展開の展望などについて伺いました。
*Mordor Intelligence調べ:インドのスマートTVおよびOTT市場-成長、傾向、COVID-19の影響、および予測(2022年-2027年)
https://www.mordorintelligence.com/ja/industry-reports/india-smart-tv-and-ott-market
会社概要
会社名:Myelin Foundry Private Limited
本社:インド(ベンガルール)
設立:2019年
従業員:15〜20名
Myelin Foundry社は2021年に「Qualcomm Design in India Challenge」のファイナリストに選ばれて、報奨金として32 万ルピーを獲得しました。インド以外のアジア諸国や欧米の著名企業と提携し、最先端の画像処理技術を応用して、様々な業界へサービスを提供しています。同社が提供する主なサービスは以下3種類です。
Fovea STREAMは、究極の視聴体験を実現するオンデバイスAI です。ストリーミングプロバイダーが、ソースコンテンツの品質やネットワーク帯域幅に依存することなく、顧客のデバイスにおけるリバッファリングをほぼ0にすることで、違和感のなく映像が視聴できます。OTTやその他のストリーミングコンテンツ配信プラットフォームにおいて、Fovea STREAMはCDN(Content Delivery Network)の平均ストレージコストを大幅に削減し、同時に視聴者の体感品質(QoE)の向上とデータ使用量の大幅な削減を実現することが可能です。 つまり、顧客の端末性能やネットワーク環境に依存することなく、高品質な動画をリアルタイムにシームレスに配信することができます。また、Fovea STREAMは、スマートフォンなどの各種モバイル機器に搭載されている既存のチップセットで動作するため、バリューチェーン全体における動画配信の消費電力、ひいてはカーボンフットプリントを大幅に削減することができます。
Fovea EDGEは、ニューラル計算の力を現場で活用することで、プラント機器の信頼性、稼働率、保守性を向上させるための判断を自動化することができます。現在、非破壊検査、表面欠陥検出、異常検出、条件監視、顔認識などのためのAIソリューションを用意しています。同社は、鉄鋼、繊維、ガラス、ラベル、ステッカーなど、あらゆる種類のものを識別・分類するための大規模な表面ライブラリを保有しています。既存のハードウェアにAIアルゴリズムを実装することで、AIによる検出、警報、予測、制御をリアルタイムに行うことができます。
車載パーソナライゼーション、接続、運転補助技術のためのカスタムAI製品・ソリューションの構築が可能です。Fovea AUTOは、車内外の多様な入力(カメラ、音響、センサー、音声アシスタント、インフォテインメント**など)からの照合情報を活用し、先進運転支援システム(ADAS)機能を提供することにより、車内でのタスク達成に向けてユーザー操作とシステム応答間のシームレスな接続を実現します。低照度視認技術により車内の安全性と体験を向上させ、インフォテインメント**や同社の車載デジタルアシスタント「GINI」を通じて提供されるインタラクティブな体験を、1つのチップに統合して提供することができます。AIシステムは、ドライバーと乗員の感情や機能の状態を監視し、より良い運転の意思決定を促すために、音声と視覚的にアラートを出します。
**インフォテインメント:情報(インフォメーション)と娯楽(エンターテインメント)の両方を提供する情報通信システム
同社はすでに日本企業との協業を進めていますが、日本企業との協業後の課題や期待を聞いたところ、「GREEN FILEDが良い。古い工場は時間ばかりかかって進まない。しかし、日本を含めた海外でのビジネス展開に期待している。」とのことでした。
これまでのインド企業の取材を通じて認識した彼らの共通点は、市場のニーズに合わせてタイムリーに製品化しようとする姿勢と、ビジネスを成功させるために異業種の仲間を見つける点です。一方、日本は、既存顧客を維持するために保守的になって新たなチャレンジを躊躇したり、社内のステークホルダーと調整しているうちに意思決定が遅れたり、自分たちがコントロールできる体制で成し遂げようとするなど、インド企業と仕事の進め方が異なるように感じます。
そこで、すでに実績のある同社のような企業の技術を活かして初めの一歩を踏み出してみませんか。インドに縁もゆかりもない日本の企業でも協業が始められるように、弊社が伴走、ご支援いたします。