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2025.10.28 / NEWS
インドに進出する日系企業にとって、人事評価は事業戦略を推進する上で避けて通れない大きなテーマの一つです。文化的背景や労務法規を抑えつつ、事業戦略に合わせた評価・育成のバランスをどう取るかという課題は、多くの企業が直面する点です。
このような課題に対処していくため、当社は2025年10月24日(金)に、バンガロールにて「インドでの人事評価を考える ― セオリーとインド文化における注意点」と題したインド駐在員向けの勉強会を開催しました。
当日は、タイ・ASEANで人事コンサルティングを専門とする中村 勝裕 氏(株式会社アジアン・アイデンティティー 代表取締役)、インドでの経営・労務支援に精通する田中 啓介(当社 代表取締役)、そしてインド人HRコンサルタントとして数多くの人事制度構築を手がけるMohita Modgill 氏(Maalabay Consultancy代表 / INDIGITALアドバイザー) が登壇。
3名がそれぞれの立場から、インド現地の人事評価のリアルな課題と、日系企業が取るべき実践的アプローチについて語りました。


| 日時 | 2025年10月24日(金) 16:00~17:30(インド時間) |
| 場所 | St. Mark’s Hotel, Bengaluru |
| 対象 | 日本人駐在員、人事責任者、マネージャー層 |
| 講師 | 中村 勝裕氏(株式会社アジアン・アイデンティティー 代表取締役) 田中 啓介(株式会社INDIGITAL 代表取締役) Mohita Modgill氏(Maalabay Consultancy代表 兼 株式会社INDIGITALアドバイザー) |
当社田中が担当した最初のセッションでは、在インド日系企業が抱える以下のような人事管理・評価の課題についてお話しいたしました。
・文化的背景の複雑さ: 多様な文化、宗教、価値観の理解が求められる
・報酬・処遇の課題: 賞与やインセンティブの評価連動設計、および継続的な昇給や賃金高騰への対応
・評価・育成の課題: フィードバック文化が欠如しており、パフォーマンス評価が難しい
中村氏からは、人事制度の基本的なセオリーが共有され、インドでの実務に生かすためのポイントが共有されました。
評価は成果を見るパフォーマンス評価(目標評価/KPI)と、行動・スキルを見るコンピテンシー評価(行動評価)の2種類があり、理想的には両方を組み合わせることが推奨されますが、企業理念やビジョン、組織図を土台に、等級制度、評価制度、報酬制度が連動し、全体として「納得感」を生むことが重要であると強調されました。

後半はMohita氏にも登壇いただき、スピーカー3名によるパネルディスカッションを行いました。インド人スタッフの価値観・行動傾向を踏まえ、以下のような運用上の注意点が共有されました。
| 要素 | インドにおける傾向と注意点 |
|---|---|
| 等級制度 | ジョブベースが主流で、年齢よりも実力重視の傾向 年功序列的要素は一部に残存するのみ |
| 評価の比重 | 結果(KPI)に比重を置く評価が一般的 |
| フィードバック | 階層志向が強く、上司へのフィードバック(上向き評価)は文化的に抵抗感が強い |
また、会場の皆様は実際に抱えている疑問にもお答えしながら、これからのインド人事評価の在り方についてディスカッションすることができました。


INDIGITALは、「変わることにワクワクできる社会を。」をビジョンに掲げ、日印間の文化理解を土台とした組織開発・人事制度設計支援を推進しています。
インドでビジネスを成功させる鍵は、文化の違いを理解し、それを強みに変えることです。異なる価値観を調和させることで生まれるシナジーこそが、これからの企業の競争力を高める原動力となると考えています。

当社では、今後も現地駐在員や人事責任者の皆さまが現場で直面する課題に寄り添いながら、実践的な学びと対話の場を提供してまいります。インドでの人事評価制度の構築やチームマネジメントに課題を感じている方は、ぜひお気軽にご相談ください。