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2021.07.16 / PARTNERS
(文責:田中啓介/株式会社INDIGITAL)
コロナ禍で加速する世界のデジタル化。世界からは「周回遅れ」とも揶揄されてきた日本企業のデジタル活用ですが、コロナ禍でビジネスのオンライン化やデジタル化が急速に進むにつれて、新しい顧客体験価値の創出やデジタル技術を活用した新しいビジネスモデルの変革に取り組む日本企業が増えています。このような状況において、最も大きな日本の課題として挙げられるのがIT人材不足です。少子高齢化による労働者人口の縮小と同時に、国境を超えたIT人材獲得競争が繰り広げられている中で日本企業は外国人IT人材の活用において大きな遅れをとっています。
我々INDIGITALが拠点を構えるIT集積地バンガロールは「インドのシリコンバレー」と呼ばれており、GAFAを筆頭に世界の名だたるIT企業が研究開発拠点を構える、優秀なIT人材の宝庫です。また、そもそもGoogleやMicrosoft、IBMの米国本社トップがインド人であるというのはもはや周知の事実です。さすがにそこまでの超一流人材を起用する必要性は必ずしもないとしても、日本企業がグローバル展開を見据えてDX(デジタル・トランスフォーメーション)を実現していくにあたって、インド人エンジニアやインド企業と協業・連携をしていくことは極めて重要なDX戦略であると我々は考えています。
さて、2007年にiPhoneが発売され、スマートフォンの普及からわずか10年足らずですが、パソコンやゲーム機は日々進化し、IoTやAIを搭載した家電製品が増え、スマートスピーカーやスマートウォッチ、デジタルサイネージ(電子看板)や電子マネー、各種カメラセンサーに至るまで私たちの生活を取り巻く環境は大きく変わりました。この変化に合わせて急速に需要が伸びているのが半導体です。半導体そのものを我々が直接目にする機会はなかなかありませんが、半導体は今ここで述べたような製品には絶対的に欠かせない存在です。コロナ禍でリモートワークや巣ごもりが増えたことでパソコンやゲーム機の社会需要が大きく増えているだけでなく、これからは電気自動車(EV)やコネクテッドカー、自動運転車などにおける需要も増えていくことが予想されます。このような状況において、本日ぜひご紹介をしたいのがバンガロールに本社を置く半導体エンジニアリングソリューションプロバイダーであるTessolve社です。この度、同社営業部門の副社長(Sales, Vice President)であるラグー・パニッカー氏がインタビューに応じてくれましたので、そのインタビューを元に同社のご紹介したいと思います。
会社名 :Tessolve Semiconductor Private Limited
事業概要 :半導体エンジニアリングと組み込みソリューションの提供
本社 :インド(バンガロール)
設立 :2004年
従業員数 :約2,050名
VLSI設計・製造ソリューション:約700名
総合的なテストソリューション:約1,000名
PCB設計・製造ソリューション:約250名
組み込みソリューション:約100名
Tessolve社は南インドのバンガロールに本社を構え、半導体エンジニアリングを含む多くのエンジニアリングソリューションを提供しています。同社は2004年に創業し、半導体シリコン前後のテストエンジニアリング事業からスタートしました。2007年にインド国内Caliber Infotech社のPCB設計事業を買収、2016年にインド財閥であるヒーローグループの傘下に入り、その後ドイツ系組み込みソリューション事業会社TES DST社のインド事業を買収するなど数多くのM&Aを経て、世界10ケ国以上で半導体エンジニアリングソリューションをEnd-to-Endで幅広く提供できる事業体制を構築してきました。ISOについては、品質マネジメントシステム認証ISO9001:2008、および、航空宇宙産業品質マネジメントシステム認証NS9100を取得しています。
営業部門副社長ラグー氏によると、昨今ではVLSI(超大規模集積回路)における半導体チップの設計から製造、テストに至るまでをワンストップで提供できるエンジニアリングソリューションだけでなく、マレーシアやシンガポール等のアジア地域に多くのラボ拠点を展開しており、DFT(テスト容易化設計)を前提とする最先端のテストソリューションの提供に加えて、社内エンジニアの研修施設としても大きな価値提供を支えているとのこと。
また、同業他社との共同プロジェクトによる同業界におけるパートナーシップを強固にする取り組みも進めており、例えば、シリコン前(pre-silicon)のフロントエンド周りをA社が担当し、シリコン後(post-silicon)のバリデーション周りをTessolve社が担当、半導体の製造工程(fabrication)をB社が担当するといった共同プロジェクトを行うことで、各社の強みを活かしながら最先端の半導体ソリューションの開発・製造を牽引しています。
2021年5月には世界大手のファブレス半導体企業MediaTek社との業務提携により、次世代型のAIスマートデバイスを共同開発することを発表しました。高度なエッジ処理を可能にするAIoTプラットフォームMediaTek i500を、Tessolve社のナノ・システム・オン・モジュールMAGIK2(Nano SoM)に搭載し、高性能なエッジコンピューティング、高度なマルチメディア機能、高解像度カメラ、AI対応のデジタルサイネージプラットフォーム、コネクテッド・タッチスクリーン・ディスプレイ、マルチタスクOSなどを実現します。
ラグー氏によると、「インド国内ではインド大手財閥リライアンス傘下のReliance Jio Platforms社が米系半導体大手クアルコム(Qualcomm Technologies, Inc)との業務提携により次世代通信システム5Gを見据えた通信インフラのネットワーク構築やソリューション開発を加速しているが、我々はシンガポール系プライベートエクイティファンドNovo Tellus Capital社から4,000万米ドルの大型資金調達をしており、今後3年間で2億5,000万米ドルもの事業投資を行なっていく予定で、これからの時代に求められるエンドツーエンドの先端ソリューションの開発と世界でのさらなる事業展開・拡大に取り組んでいく」、とのこと。
Tessolve社はこれまでソフトバンク・ロボティクス社のヒューマノイド開発プロジェクトや、ソニー社との組み込み開発プロジェクト、パナソニック社との自動車用半導体製造などにおいて協業実績があるようですが、日系企業とのさらなる連携を強めていきたいと考えています。
同社はHMI(Human Machine Interface)などをベースとした価値提供において特に大きな強みがあり、同社の特徴である、ODMモデルを前提とした、相手先ブランドで設計から開発、製造までを請け負う総合的なハンズオンソリューションおよびターンキープロジェクトの遂行を得意としています。例えば、具体的な製品案やアイデアを日系企業が提供することで、Tessolve社がその後の設計・開発・テスト・製造までをワンストップで担うことができ、日系企業ブランドでのAI製品開発プロジェクトをTessolve社が積極的に主導できる点において大きな価値を提供することができます。
弊社INDIGITALでは、技術連携における専門家や法律面からのインド企業との連携(NDA締結やPoC契約の締結、共同開発プロジェクトの契約書作成に至るまで)を伴走支援できるプロフェッショナルが在籍をしており、Tessolve社との協業による新製品の開発プロジェクトを強力にサポートいたします。