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2026.08.31 / COLUMN
インド進出をEOR(Employer of Record/代替雇用)で検討する際、最初にぶつかる疑問が「結局いくらかかるのか」「何を基準にEOR会社を選べばいいのか」の2つです。
本記事は、EORの費用がどう決まるのか(料金構造)→ 相場の目安 → 見落としやすい隠れコスト → 失敗しない選び方の判断軸、という順で、購買直前の担当者が意思決定できる粒度でまとめました。
なお、EORそのものの定義・仕組み・メリット/デメリットは総合ガイドで詳しく解説しています。EORの全体像を先に押さえたい方は EORとは?インド進出企業のためのEOR完全ガイド をご覧ください。

EORの請求は、大きく「①EOR事業者に支払う手数料(EORフィー)」と「②実際に雇用する社員の人件費・法定コスト(実費)」の2段階で構成されます。ここを分けて理解すると、見積りの読み方が一気にクリアになります。
料金体系は主に2タイプあります。
「安く見える見積り」でも、①と②のどちらまで含むのか(インクルーシブか)、料率型か定額型かで総額は大きく変わります。比較の第一歩は「同じ前提条件に揃えて総額で見る」ことです。
インドにおける給与体系の詳細に関しては、「CTCって何ですか?」—インド人材採用で最初にぶつかる壁を、一緒に乗り越えようも合わせてご覧ください。

※以下はインド市場で一般的に見られる目安のレンジです。実際の金額は、人数・給与水準・勤務地(州)・契約形態・付帯サービスの範囲によって大きく変動します。正確な費用は必ず個別見積りでご確認ください。
| 費用項目 | 相場(目安) | 備考 |
|---|---|---|
| 月額管理フィー(定額型) | 1名あたり 月US$100〜650 程度 | 人数・給与帯・サポート範囲で変動。人数が多いほど1名単価は下がる傾向 |
| 月額管理フィー(料率型) | 月次人件費の10〜20% 程度 | 高給人材・賞与月は総額が膨らみやすい |
| 給与(実費) | 職種・スキル・都市で大きく変動 | ベンガルール等の主要都市は高め |
| 雇用主負担の法定拠出(実費) | PF(従業員積立基金):基本給の12% ESI(従業員州保険):対象給与の3.25% 退職一時金積立:基本給の約4.81%相当 | 給与水準・州により適用有無が変わる(出典:EPFO、ESIC、退職一時金はPayment of Gratuity Actに基づく法定率) |
ポイントは、「EORフィー」だけを他社と見比べても意味がないことです。実費(人件費+法定拠出)は誰に依頼してもほぼ同じ水準になるため、事業者ごとに差が出るのは主に「EORフィー」と「そこに何が含まれるか(サービス範囲)」です。
契約開始時に、初期費用やオンボーディング費用が発生することがあります。雇用契約書の作成、コンプライアンスチェック、給与体系(新労働法典の「賃金50%ルール」を踏まえた設計)の初期構築などが含まれます。「初期費用ゼロ」を強調する見積りでも、その分が月額に転嫁されていないかを必ず確認しましょう。

総額の落とし穴は、月額フィー以外の都度発生・条件付き費用にあります。見積り段階で必ず質問すべき項目です。
これらは課税・法定コストとも密接に関わります。インドでのEOR運用における課税・PEリスクの詳細は、課税コストを扱った記事で解説しています。
「EORと現地法人、結局どちらが安いのか」は費用検討で必ず出る論点です。ごく単純化すると、現地法人は初期・固定費が重く人数が増えるほど有利、EORは初期投資が小さく少人数・短期・スピード重視で有利という損益分岐の構図があります。目安として採用5〜10名を超えると、現地法人設立の運営コスト効率が逆転し始めるケースが多いとされます。
どちらが自社に合うか(損益分岐点・移行判断)は、コスト・リスク・スピードの3軸での比較が必要です。この論点は別記事で詳述しているため、本記事では費用の焦点に留めます。
詳しくは「EOR vs 現地法人設立:コスト・リスク・スピードを徹底比較」をご覧ください。

EOR会社選びは、価格の安さだけで決めると、コンプライアンス不備や対応品質の低さで結局コスト高につく可能性があります。あくまで価格は「判断軸のひとつ」に過ぎません。ここでは、買い手として押さえるべき5つの判断軸を提示します。
まずは、書類上の代行だけでなく、インド現地に法務・労務・経理の実務を支える専門家体制があるかです。EORの本質は「雇用」という極めて重要な責務を代わり第三者の専門家に任せることとなるため、州ごとに異なる労働法や税法に基づく現場の実務に、現地目線で対応できるかが品質を分けます。 例えば「ベンガルールとデリーで同時に採用したい」と伝えたとき、州ごとの労働法の違いを踏まえた各種登録の要否やコンプライアンス対応の具体的な手順がその場で返ってくるかを見ると、現地体制の厚みが分かります。また、将来的にインド現地法人の設立が必要となった場合の設立代行サポートやメンバーの転籍手続きまでを一気通貫で対応してきた実績があるかどうかも重要な判断軸となります。
インドは労働法・税務が複雑で、対応を誤ると予期せぬ課税リスクが生じます。契約・給与設計・実務が最新の法令(新労働法典を含む)に準拠しているか、PE(恒久的施設)認定による課税リスクを考慮した有益なアドバイスが得られるかどうかは、価格以上に重要な軸です。
見積りが「EORフィー」と「実費」に分かれて明示されているかも重要です。隠れコスト(保証金・解約費・送金手数料等)が事前に開示されているか。総額と内訳を明快に示せる事業者は信頼できます。見積書を見て「この金額に含まれないものはどれですか」と尋ね、追加費用一覧の有無を確認しておくことも有効です。
日本語での窓口があるか、日本・インドの時差や商習慣を理解しているかも確認することをおすすめします。トラブル時のレスポンス速度と、月次レポートの分かりやすさも実運用では効いてきます。 例えば、「給与計算で疑問が出たら誰に何時間で連絡がつくか」「インド人を解雇したい場合に誰が回答してくれるのか?」などを確認すると、日本語での相談窓口が実在するのか、英語のみの現地対応に丸投げされるのか、インド税務・労務の専門家が本当に社内にいるのか、が見えてきます。
最低契約期間、増員・減員のしやすさ、解約条件についても確認しておきましょう。事業の拡大・撤退どちらのシナリオにも柔軟に対応できる契約かを確認します。「1名で試して、半年後に5名へ増やす/逆に撤退する場合の条件は」と聞き、増減員と解約の手続き・費用が契約書に明記されているかを確認すると、拡大・撤退どちらの前提でも安心して始められます。
選定チェックリスト(5つの判断軸 × 確認ポイント)
| 判断軸 | 確認ポイント |
|---|---|
| ① 実績・現地拠点 | インド現地に自社の実務体制はあるか/過去の日系企業支援実績は/将来的なインド進出までを一気通貫でサポートできているか |
| ② コンプラ&PE対策 | 契約・給与設計は最新法令に準拠しているか/PEリスク等の税務リスクを考慮した適切な説明・アドバイスが得られるか |
| ③ 料金の透明性 | フィーと実費が分離明示されているか/隠れコストは事前開示されているか |
| ④ 言語・サポート | 日本語窓口の有無/レスポンス速度/質疑応答等レポートは明快か |
| ⑤ 契約の柔軟性 | 最低契約期間/増減員の可否/解約・撤退時の条件などは明示されているか |
自社の人数・給与前提だと費用はいくらになるか、レンジではなく実額で知りたい方は、個別見積りが確実です。INDIGITALのEORサービスについての詳細はこちらをご覧ください。
Q. EORの費用は1名だけでも依頼できますか?
A. 多くの場合1名から可能です。少人数・スモールスタートはEORが得意とする領域で、現地法人設立より初期コストを大きく抑えられます。
Q. 定額型と料率型、どちらが得ですか?
A. 一概には言えません。給与水準が高い人材・賞与が大きいケースは定額型が有利になりやすく、給与が低め・変動が大きいケースは料率型が有利なこともあります。自社の給与前提で総額を試算して比較するのが確実です。
Q. 見積りで最初に確認すべきことは?
A. 「フィーと実費が分かれて明示されているか」「保証金・解約時費用などの隠れコストが開示されているか」の2点です。隠れコストを逃さないためにも、ここが明快な事業者を選ぶことをおすすめします。
Q. EORと給与代行との違いは?
A. 給与計算だけを請け負う「給与代行」と、雇用主となって法的責任まで担うEORは、費用に含まれる範囲が根本的に異なります。
EORの費用は「EORフィー+実費」の2階建てで、比較の要点は総額と、フィーに何が含まれるか(透明性)です。そして会社選びは価格の安さだけでなく、①実績・現地拠点/②コンプラ&PE対策/③料金の透明性/④言語・サポート/⑤契約の柔軟性の5軸で総合的に判断することが、結果的に失敗と余計なコストを避ける近道になります。
INDIGITALは、インド現地の実務体制のもと、フィーと実費を明快に分けた見積りと、日本語での伴走サポートを提供しています。自社の人数・給与前提での具体的な費用感を知りたい方は、以下からお気軽にご相談ください。