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INTERVIEW 01:越境テレワークを通じてインドIT人材の受け入れがスムーズに。

2023.01.26 / COLUMN

CLIENT PROFILE

クライアントプロフィール

会社名:株式会社カンブライト

事業内容:食品製造業向けクラウド型SaaS「ツクルデ」を提供

企業ホームページ :
https://canbright.co.jp/

SaaS特設ページ:
https://tsukurude.jp/

株式会社カンブライト様は、食品製造業の課題をワンストップで解決するクラウド型SaaS「ツクルデ」を提供するフードベンチャー企業です。京都に本社を構え、大阪に食品開発センターおよびシステム開発&物流センターを保有しています。

今回は、2021年11月から弊社INDIGITALのインド越境テレワーク導入支援サービスをご利用いただいた株式会社カンブライトの代表取締役・井上様に、弊社を選んだ理由や、実際にサービスを利用してみた感想などを伺いました。

御社が開発している「ツクルデ」とはどのようなプロダクトですか?

「ツクルデ」は、食品製造業のDXを推進するためのクラウドサービスで、その名称は「ツクルをデジタル化する」という想いを込めて名づけました。とにかく中小企業さんでも使えるシステムにしたい、という想いからスタートしたのですが、中小の食品製造業の人たちは基本的にデジタルに強くありません。DXを進めようとしても、ビジネスで求められるさまざまな機能、例えば、受発注や在庫管理、生産管理、さらに現場の記録をデジタル化するといった機能に対して、ひとつひとつ個別に複数のツールを導入しなければならない状態でした。これではシステム導入に大きなコストが発生するだけでなく、そもそも管理を楽にするためにシステムを導入しているのに、システム同士を連携させるためのあらたな管理業務が追加で発生してしまい本末転倒です。そこで、中小企業さんでも低価格でかつ一気通貫で使える、見やすくて使いやすいデジタルインフラを作りたいと思うに至り、「ツクルデ」の開発をしています。

どのような想いで御社を創業されたのですか?

もともと私は15年ほどITエンジニアをやっていました。その当時勤務していた会社がカンボジアに現地法人を立ち上げることになり、私が長期出張で初めてカンボジアに行ったのですが、その時にカンボジアのスーパーで買った食材が美味しくありませんでした。それまでずっとITの世界で仕事をしていたから感じていたことかもしれませんが、その当時から日本がITで世界に勝てるイメージが持てなかったんですが、では日本が世界に誇れるコンテンツって何だろうというのを考えたときに、食とアニメと観光ぐらいしかないかなと考えました。その中でも特に私にとって「食」というのは、食べることや料理を通じて与えられた母親からの愛情もそうですが、「豊かな食卓が豊かな人間性をつくる」と本気で思っていまして、また心からそうなってほしいと願っているところもあります。

カンボジアから日本に帰国して以来、ずっと「食」に関するニュースがいろいろと気になりだしたんですね。特に、地方で良いものをつくっている食品の生産者さんや加工業者さんが廃業していっている、後継者がいないだけでなくそもそも事業が儲からないので継がせられない、という厳しい現実があることを知ったんです。日本には四季折々の美しい自然があって、いいものを作ろうという日本人の気質があって、そこから生まれてくる世界に誇れる日本の多様な食材や食文化を、自分の子どもや孫に残したい、なんとか後の世代に残したいと思うようになりました。15年のITエンジニアとしてのキャリアを捨てて、この課題をなんとかするために残りの人生のすべてを賭けようと覚悟を決めました。そこで、当初はゼロから缶詰事業を始めることになったのが当社創業の経緯です。

なぜ缶詰事業だったのですか?

世界の市場で日本の食品製造業さんが勝てる仕組みをつくりたいと想っていたので、生鮮食品や冷凍食品では世界に持っていくことは困難です。あのナポレオンが世界を征服するために、軍隊に配給する携帯食糧として開発したものがまさに缶詰のルーツなので、世界に食を流通させるために生まれた缶詰で勝負したいと考えました。缶詰が、いいものを作っている中小の食品製造業が稼げるひとつの手段になり得ないかと思ってスタートしたわけです。

どのような経緯で「ツクルデ」の開発をスタートするに至ったのでしょうか?

缶詰事業はこれまで5年ほどやってきました。中小企業が缶詰をつくると少量多品種になってしまうのですが、どうしても値段が高くなってしまうんですね。世の中の缶詰が100〜200円で販売できるのは、1日あたり何十万缶という大量生産をしているからであって、私たちのように1日あたり数百缶規模だと、商品の質は良くても値段が1,000〜1,500円してしまう。ただ、高くてもその商品がつくられた背景としてストーリーがあればちゃんと売れるんですね。この缶詰にはどのような希少性があって、どういう想いでどういう人たちがつくっていて、生産プロセスがサステナブルな取り組みであるかどうか、この缶詰がどのような社会貢献につながっているのかなどのストーリーに加えて、味やパッケージにもこだわっていけば1,500円でも売れるわけです。でも、中小の食品製造業さんが現場の情報をつないでこうしたストーリーに仕立てて消費者に伝えていく、というのは決して簡単ではないですよね。そこで、製造業者さんが日々の業務を効率良くおこなっていく中で、デジタルデータがつながってストーリーが自動的に生まれていく、そして、日本の食品製造業さんの商品価値を高めるためには、できるだけ端から端までの情報を一気通貫でつなげられる、そんなプラットフォームがつくれたらいいな、というのが最初のアイデアでした。

それから、私たちは当初からビジネスモデルとして「缶詰メーカー」になろうとしていたわけではなく、缶詰の仕組みをプラットフォーム化して日本全国の食品製造業さんにつかってほしい、という想いがありました。つまり、自分たちの工場は持たずに、廃校となった学校を缶詰加工場として活用したり、障がい者雇用の場としたあった食品加工場を缶詰工場としてアップデートしたり、といった形で、手詰め缶詰の工場立ち上げに必要な設備の選定や製造ノウハウ・缶詰容器の手配・パッケージデザインに至るまでをプラットフォームとして日本全国に広げていく、そこで生産される高品質な缶詰を世界に売っていくということを目指してやっていたわけです。

ところが、実際にいくつかの手詰め缶詰工場を立ち上げてみたところ、管理が追いつかなくなってくることに気づきました。世界に輸出していくためはHACCPという食品安全規制を必ず満たしていく必要があるのですが、幅広いデータの記録や管理が求められるこの厳しい基準を満たしていくには、私たちのサポートだけではとても追いつかない。事業の管理基盤として世界に広げていくための足腰をしっかりと鍛えておかなければならない、ということを痛感しました。そこで、中小の食品製造業さんでも低価格でかつ一気通貫で使えて、やるべきことさえやっていればHACCPの認定もすぐ取れるデジタルインフラをつくりたい、それをいったい誰がつくれるだろうかと考えたときに自分しかいないのでは、と思うにいたり「ツクルデ」のサービスを自社で開発することになりました。

「ツクルデ」SaaS特設サイトより抜粋

「ツクルデ」を開発する上でこだわった部分はどこですか?

日本企業の多くがDXに失敗するひとつの背景として、自分たちの仕事のやり方に合わせてシステムを導入したがる傾向にある、つまり、標準化という概念があまりない、という点があると感じています。ですので、私たちがやりたかったこととして「食品製造プロセスを標準化する」ことにチャレンジしたかったというのがあります。大手企業であれば独自の自社システムを構築できているので良いのですが、中小企業の場合はそこに大きなコストをかけることができません。大手企業が要求してくるような細かい機能はなるべく排除した上で、最大公約数的に標準化すべき範囲を、私たちのアイデアを提示しつつも、お客様と一緒に決めていくことを意識しました。これから開発を進めていくサービスの新機能・仕様も含めて、アイデア段階からユーザーであるお客様に積極的に共有して、直接フィードバックをもらいながら開発を進めることで、早いタイミングで使っていただけるお客様の意見がより多く反映される仕組みにして、一緒に成長していくことができるような進め方を意識していることが、こだわっている部分ですね。

現状の開発メンバーや開発体制について教えてください。

インド人エンジニアが4名、バングラデッシュ人エンジニアが1名、ベトナム人エンジニアが1名を含むエンジニア15名とデザイナー1名で構成された開発体制になっています。あと、マーケティング側でイラスト等作成をしている中国人デザイナーが1名おります。機能の実装においては、受発注・在庫管理・生産管理という3つの機能それぞれにチームを分けて開発を進めていて、2週間を1スプリントとしてスクラム開発を進めている状況です。

開発体制を構築する上でなぜインド人ソフトウェアエンジニアを起用されたのでしょうか?

缶詰事業からスタートしてSaaSのサービス開発に移行していくにあたり、はたして“缶詰ベンチャー”にエンジニア人材が集まるだろうか、という危機感がありました。当初から日本の食品製造業さんがつくった缶詰を世界に売っていく、という海外展開を見据えていましたし、また、日本人エンジニアを採用していく上で、なぜカンブライト社に入社するのか?ということを当社の魅力として明確に言えないといけないと感じていましたので、ベンチャーとしてゼロイチの開発経験が積めるだけではなく、インドを中心とした海外IT人材と一緒に開発ができるという成長機会・職場環境をつくることがひとつの魅力になり得ると考えたため、開発チームを多様化しておくことを意識して積極的に海外IT人材を採用してきました。

インド人ソフトウェアエンジニアの方々が日本に渡航する前後で大きな環境の変化があったとは思いますが、難しかった点や想定と違ったことなどありましたか?

インド人エンジニアの4名はいきなり日本に来たわけではなく、しばらくは御社の越境テレワークサービスを利用しながらインドと日本で、リモートでコミュニケーションが取れていたので、日本に渡航する前後での環境の変化による影響や違和感は特になかったですし、むしろとてもスムーズに日本での就業に入ってもらえたと思います。むしろ、4人が日本に来てくれたおかげで、日本人メンバーが積極的に英会話を学び始めています。弊社には月額5,000円まで教育費用を補助するグロースアップ制度があるのですが、この制度を積極的に利用してくれるようになったのは嬉しいですね。逆に、想定外だったこととして、日本人が英語で話そうとするので、インド人エンジニアにとっては日本語を話す機会を奪われてしまっている、という側面はあるのですが(笑)

実際にINDIGITALのサービスを利用してみていかがでしたか?

もともと当時採用していたインド人エンジニア4名については、すぐに日本に渡航してもらう予定だったのですが、2020年の新型コロナウイルスによるパンデミックの影響で日本に来れなくなってしまったと同時に、日本側での受け入れ体制もまだ整っていなかったこともある中で、正直どうしようかなーと本当に困っていました。そんな中で偶然にもこのようなご縁があり、良いタイミングで御社にご支援のお願いができて、まさに窮地を救っていただきました。ただ、これはあくまできっかけがそうだったという話なのですが、何より良かったと思うのは、先ほどお話をしましたとおり、もしインド人エンジニアとのコミュニケーションがそれほど取れていないままいきなり彼らが日本に渡航をしていたら、きっと彼らも不安でしょうし、私たちも不安なことが多かったと思います。それを御社の越境テレワークのサービスを利用することで、リモートであっても何ヶ月もかけてコミュニケーションをとりながらお互いをある程度理解できる時間が作れたこと、その間に私たちも受け入れ準備のための時間をしっかりと作れたことが、日本での就業にスムーズに入れた成功要因のひとつだと感じます。

サービスの悪かったところや改善点などがもしあれば教えてください。

悪かったところは本当にないのですが、例えば、インド人候補者が日本に渡航するまでの期間をつかってインド側で日本語の学習を提供できたり、ソフトウェア開発に限って言いますと日本語と英語がわかるブリッジSEの方がいて、チームで開発をするという実務経験を日本に渡航する前から早期に積んでいただけるようなサービスがあると良いかもしれないですね。 あと、これは実際に御社に開催していただきましたが、インド現地のメンバーで集まって一緒にランチ懇親会などを開催していただいた、というのはとても良かったですね。日本に渡航する前から、現地でメンバー同士が実際に会って仲良くなっていると良いなと思っていましたので、例えばあれを毎月定例で開催したり、インド側だけでなくZoomで日本とインドをつないだ懇親会を企画いただいて、チームで交流をより深められる機会をつくっていただけるとより良いサービスになるのではないかと思いますね。

カンブライト社と弊社メンバーによるランチ会の様子①
カンブライト社と弊社メンバーによるランチ会の様子②

昨今、海外IT人材を積極的に活用するEOR(代替雇用)サービスが世界で注目されていますが、高度IT人材不足に直面する日本ではまだ広がっていないように思います。日本企業が海外IT人材を活用していくために必要なことは何だと思われますか?

これから徐々にこのようなサービスを活用せざるを得なくなっていくのは確実だと感じています。海外IT人材を活用しようとすると、英語でのコミュニケーションが必要になるので、まずは言語障壁という点で日本の現場の人たちには負担になるんですけど、その「負担」とその「負担を乗り越えた後に見える世界」を天秤にかけたときに、私は絶対にやったほうがいいと思うんです。

ただ、全社的に一気にやるのではなく、海外のIT人材と一緒に働きたいメンバーだけを集めてプロジェクト的にやっていくのが良いのかなと思います。海外のIT人材とチームで一体になって仕事をしていくためには、日本側のサポートが絶対的に必要になってくるので、海外人材と一緒に仕事をすることにワクワクできるメンバーにまずは声をかけるか、社内にいなければ採用をして、小さく始めることが大切かもしれないですね。あとはやってみればなんとかなるものです(笑)

今後のINDIGITALに期待することはありますか?

そうですね。将来もしインドに開発拠点をつくるという方向性になれば、インド現地法人の設立代行と合わせてインド人エンジニアメンバーをインド側に転籍させる手続きにおいてもサポートいただけるととても助かります。あと、そもそも当初のインド人エンジニアの候補者を見つけてくるところから御社側でサポートをいただけると、候補人材のマッチングからリモートでの採用プロセス支援、日本とインドでの中長期的な雇用体制の構築サポートをワンセットでお願いできるので良いかもしれないですね。

INDIGITALの越境テレワークサービスの利用を検討している方にぜひ一言お願いします。

日本のIT人材市場はこれからますます高騰していく以外考えられないですし、優秀なIT人材は一部のメガベンチャーや大手企業に集まっていく傾向が強くなると思います。日本国内の人材だけでは会社成長はますます難しくなっていくのは確実です。もし、IT人材の採用を本気でやるのであれば、このようなサービスを利用して海外IT人材を積極的に活用しない手はないです。とは言え、リスクはあるのでまず2〜3人ぐらいから小さく始めてみること。5〜10年後を見据えてまずはやってみること、小さく始めればもし失敗しても大したことはないし、むしろ日本側のメンバーにもいい影響を与えることができるので、将来を見据えたひとつの成長機会と捉えて積極的に取り組んでほしいですね。

井上様、本日は大変お忙しい中、貴重なお時間をいただきまして本当にありがとうございました!

カンブライトのシステム開発センター(大阪)で井上社長とインド人エンジニアメンバーと共に
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